ロンドン大学

ちょうど1年前に、ロンドン大学の学位をオンライン(BSc in Business Administration)で取得しました。生徒さんの中でも、海外大学やCPA取得のために勉強している方の話をよく聞くようになり、何人かの生徒さんから、ロンドン大学についていくつか質問されたので、こちらで情報をシェアしたいと思います。

ロンドン大学?

2018年当時は、オンラインの学位が今ほどメジャーでなく、ネットにもロンドン大学の全く情報がなかったため若干不安でした。入学前にロンドン旅行した際に、所在を確認しましたところ、大英博物館裏の広大な敷地にありました! 実際にロンドン大学というのは20くらいの国立大学が集まったグループ名称で、手続きや、オンラインのプラットホーム・ライブラリーなどを統括して運営しています。コロナの影響もあって、卒業時には学生が倍ぐらい増えていましたが、日本人はいないようでした。

https://www.london.ac.uk/

入学の目的

英語学習はしたいですが、英語教材ではなく、英語で他の知識を得たかったため。学部選択は願書提出期限ぎりぎりの9月の時点で、バリバリ理工系と、BA(Business Administration)と foregin affair? みたいなものしか残っておらず、BAにしました。歴史や文学などの文系は非常に学費が高かったと記憶しています。

入学の決め手

以前から、周りの友人や生徒さんたちの多くが、会社に勤めながら、大学で勉強していました。英語で勉強できそうな日本の大学、アメリカの大学も少し探しましたが、学費が安かったのでロンドン大学にしました。また日本の大学は通信でも、スクーリングが多く、仕事の都合上難しいと感じました。昨今は、完全オンラインの大学も出てきているようですが。

ネルソンマンデラも刑務所で勉強したらしいです(彼は優秀なLSE)。

取得した学位

ロイヤルホロウェイ校のBachelor of Science in Business Administrationという学位です。略して、BSc ( 理学士号)です。理系といっても、統計学、情報システム、会計(2科目)以外で数字を扱うものはありませんでした。卒業できればいいやと思っていたのですが、マスターに進むためには、単位を取るだけでなく成績が大事です。Upper-Second (上から2番目)以上が必須だそうです。

8月試験結果が出て12月にDHLで到着

勉強した科目・卒業に必要な単位

1年に最大4単位、卒業の年だけ5単位取れます。最初はのんびり卒業しようと思ったのですが、学費が年々高騰してきたので、急いで卒業することにしました。最後の年は大変でした💦最初の年3科目しか取れなかったのは、入学手続きが遅れて12月ごろの入学になったためです。ロンドン大学の手続き・やり取りは日本では考えられないほど遅いので、くれぐれも早め早めの願書提出をお勧めします。わたしは最終年度の科目登録で問題が生じたので、事務局に8月に連絡して10月に回答が来ました。

Business Administrationで履修した科目:

最初の選択科目を間違ってしまい、不得意なマーケティングよりの科目になってしまった💦

イギリスといえば、サッカーなのに、なぜか、MLBのデータ分析(OPSとか計算。2018年なので大谷はいない・・)でした。ルール変更が結果にどのように影響があるか分析し、試合をよりOffensiveにするためのITの提案をしなさいというのが、Information Systemsのお題でした。

単位と評価

ロンドン大学でも所属の大学によって、やり方は異なると思いますがご参考まで。1単位につき、前期科目は2月にレポート提出・後期科目は5月に試験。4:6の割合で評価されます。卒業論文はありません。最短3年、最長8年です。レポートは2500語の論文形式で期日までの提出。試験は、白紙の用紙にすべて記述式で2000語のレポートを作成。コロナ前はブリティッシュカウンシルに行って2時間の手書きエッセイ(鉛筆不可)、コロナ後は24時間以内提出のレポート形式(オンライン)。オンラインの方が、スペルチェックできるのでノンネィティブには断然有利ですが、現在、どうなっているか要確認です。授業やディスカッション、出欠による評価点の加点は一切ありません。

卒業までの費用

支払った金額を確認したところ、合計140万程度でした。最終年度は学費が少し上がったはずです。昨年の時点でかなり上がってましたので、最新情報を要確認です。授業料の他に5月の試験料が意外に高かったです。

BSc Business Administration: おー、かなり上がっていますね。試験料が含まれているのかしっかり確認してください。
https://www.london.ac.uk/courses/bsc-business-administration#fees-26288

入学要件

入学試験はありませんが、要件を満たしている必要があります。イギリスの高校卒業は、日本の大学1年までの過程に相当するため、高卒だと入学資格を満たしません。ファンデーションコースを受講する(当時オンラインでは受講不可)、または、高校の成績が良い必要があります(英語はIELTsやTOFELのスコアが使えますので、成績が悪くても大丈夫です)。要件については、事前に担当者に問い合わせる必要があります。それから英語が必要です。

英語レベル

大量に読むことと書く能力が必要です。IELTs Overall 6.0が要件だったと思いますが(大学・学部による)、すべて記述式の試験になりますので、6.5はないと辛いと思います。コアテキストの他に、プラスで論文やら、記事を読む必要があり、英語をみるのもいやになりました。

勉強の進め方

授業はありません。講師の方で、週ごとに要点をまとめた動画を作成しているので、それを見るくらいです。ひたすら指定された教科書、ジャーナル等を読みます。前期のレポートは、ハーバード形式でリファレンスをつける必要があるため、読んだ文献を要約し、レポートに使える内容を整理しながら読んでいきます。年度末の試験は、すべて白紙からの記述式で、選択問題は1問もありません。当日、6つの課題が与えれ、その中の3つを選んで2000字のエッセイを書きます。試験でも、簡易的な参照、年度と著者を付ける必要があるため、事前に講師が用意したモック問題のエッセイを書けるように練習しておきました。

試験内容と難易度

大学・学部によると思いますが、ノンネイティブが受講するにあたっての難易度は、勉強する学部の前提知識によると思いました。例えば、簿記2級程度の会計の基礎知識があったため、英語になっても問題ありませんでしたが、前提知識なしで、高校卒業したばかりの学生がこの課題をこなすとなると結構難しいのでは思いました。会計はテキストの名前こそBasicでしたが、5ページくらいの英文を読み、白紙から決算書を作ります(計算過程もつける)。また、財務分析にフォーカスしており、分析結果と提案を記述します。統計学ではExcelの分析ツールを使って、回帰分析やANOVAをやるのですが、あまりに理解できず、日本語の統計学の本を丸善に買いにいきました。マーケティングの科目は、最後まで採点ポイントがわからず、86点のときもあれば、55点のときもありました。適当にやっても高い点が取れたり、時間かけたのに悪い点だったり・・。点を取るエッセイの書き方は、ファンデーションコースなどでちゃんと勉強できたのかもしれません💦

勉強時間

10月~2月中旬レポート提出~5月末学年末試験。毎日平均3時間くらいでした。ほんとうはもっとやらないといけないです。もうちょっとしっかりやってれば英語力も伸びたかも・・ですが、さっさと単位を取って終わらせようという気持ちになってきました。年末年始はレポート作成、GWは試験勉強&試験です。試験終了後6月~9月までは休暇なのですが、オンライン図書館にアクセスできるので、学部の担当者に、次年度の教科書を教えてもらい事前に読むようにしました。

ChatGPTが使えるのか?

検索したところ、ロンドン大学に所属する大学ごとにルールが定義されているようですが、ロイヤルホロウェイでは使用することが指示されていない限り、AIが生成したものは盗用の扱いなので基本的に使用してはダメとのことです。

GENERATIVE ARTIFICIAL INTELLIGENCE AT ROYAL HOLLOWAY:
https://intranet.royalholloway.ac.uk/students/study/our-college-regulations/generative-artificial-intelligence-at-royal-holloway.aspx
わたしの在学中に、もしchatGPTがリリースされていたら?を考えてみました。英文のチェックなど部分的に使えるかもしれませんが、エッセイ、ペーパーには必ずリファレンスを付ける必要があり、ChatGPTのリソースではできないと思いました。会計の科目も問題文をぶっこんで決算書を作るコードを生成できそうですが、AIが使ったものをチェックする方が逆に大変そうです。そして、手書きの試験の場合は、当然使えません💦

マスターへの進級

曲りなりにもBAを3年勉強しましたので、しゃれでMBAを取ってもいいかなと思いましたが。勉強できるかの前に、金額で断念しました。例えば、同じロンドン大学のクイーンメアリーのMBAコースが、22 weeksで320万と学士に比べて、かなり高く設定されています。物価高でさらに上がっているかもしれません。

Global MBA: https://www.london.ac.uk/courses/global-mba#how-you-study-941

良かったこと

コロナの休業期間や暇な時期にやることがあったこと。(いちおう)イギリスの国立大学の学位を得たこと。Youtubeプレミアムや木場のMOT入場券に学割が使えたこと。自分が普段読まないであろう、英文に触れる機会があったこと。

悪かったこと

卒業してから、英語を読むのがしばらく嫌になったこと。試験前徹夜でしんどかったこと。英語力はたいして変わっていない気がすること(入学当初の第一目標)。

卒業式:

学長(アン王女)も出席されたようです。ロンドン行き航空券が、エコノミーで1年間の学費より高かったので参加しておりません💦

まとめ

卒業するにあたっては、英語力より、その学部の前提知識の方が重要だと思いました。例えば、IT専門の方は、コンピューターサイエンスの学部などハードルは高くないと思います。卒業だけならそんなに難しくないと思いますが、将来、マスターに進みたい方は、海外で就職したい方は、良い成績で卒業しないといけません。仕事をしながらだとかなり難しいと思いますが、科目単位の履修も可能なので、英語+アルファの知識を得ることができます。何より、入学要件をクリアするためにIELTsを勉強するだけでも(まずはライティング)英語力アップにつながると思います。入学に関しては、学費の高騰もあり、費用対効果は要検討です。

最新情報については大学に随時確認する必要がありますが、もしロンドン大学に興味がある生徒さんがいましたら・・気軽にお声がけください。